下痢・便秘

下痢・便秘とは

下痢とは、水分を多く含むかたちのない糞便を排泄することであり、結果として便量と便回数が増加します。一般には成人では1日の糞便 量が 200mL(200g)を超える場合と定義されています。下痢は、急性下痢と2週間以上続く慢性下痢に分類されます。便秘とは、何らかの原因で排便に困難を感じ、それに伴い不快な症状を訴える状態を指します。しかし、排便習慣は個人差が大きく、実際には便秘の医学的な定義はむずかしく、排便回数や1回排便量の減少、便の硬化、残便感、腹痛、腹部膨満感など、幅広い症状が便秘として認識されます。腸に器質的な異常を伴う器質性便秘と器質的異常を伴わない機能性便秘に分類されます。便秘は男性より女性で起こりやすいですが、高齢者では男女差がなくなってきます。

原因

下痢の原因としては、滲出性下痢、分泌性下痢、浸透圧性下痢、腸管蠕動異常による下痢、消化吸収障害による下痢に分けられます。急性下痢では感染性腸炎、慢性下痢では炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、過敏性腸症候群、薬剤性下痢などがよくみられます。また、高齢者は併存疾患が多いため、薬剤による下痢にとくに気をつける必要があります。たとえば、プロトンポンプ阻害薬を服用することで、顕微鏡的大腸炎(microscopic colitis)による下痢が起こることがあります。また、下剤の乱用によって下痢が起こることもあります。抗菌薬投与によるClostridioides difficile感染症も高齢者では起こりやすくなっています。一方で過敏性腸症候群や炎症性腸疾患は、若年者に多く、高齢者では頻度が低くなります。便秘に関しては、高齢者では大腸がんなどの器質性便秘の頻度が高くなりますので、大腸内視鏡などの検査をきちんと行うことが大切です。また、便秘についても高齢者では原因として薬剤の可能性を考えることが大事です。便秘を起こす薬剤としては、抗コリン薬抗コリン作用を有する薬剤(三環系抗うつ薬、パーキンソン病治療薬など)麻薬系の鎮痛薬(モルヒネなど)降圧薬であるカルシウム拮抗薬などがあげられます。また、下剤、とくに大腸刺激性下剤の乱用によって便秘が誘発されることもあります。

薬物治療

下痢に対しては器質的疾患があれば、その治療を優先します。器質的疾患がない場合は、腸管運動抑制薬(ロペミン、抗コリン薬など)や整腸薬などによる対処療法を行います。過敏性腸症候群による下痢に対しては、腸管内の水分を吸着するポリカルボフィルカルシウム(ポリフル、コロネル)や、腸管蠕動を抑制するセロトニン受容体(5-HT3)拮抗薬(イリボー)なども用いられます。便秘についても、器質的疾患がある場合は原疾患の治療を優先します。器質的疾患のない機能性便秘に対しては、食事を含めた生活指導を行ったうえで、症状が改善しない場合に薬物治療を行います。まずは非刺激性下剤である酸化マグネシウムが用いられます。酸化マグネシウムを投与する際には、とくに高齢者では高マグネシウム血症に注意が必要です。非刺激性下剤としては、最近発売された塩類下剤であるモビコール配合内用剤、腸管上皮細胞の機能に作用するアミティーザ、グーフィス、リンゼスも使われるようになってきています。一方で、刺激性下剤(アローゼン顆粒、プルゼニドなど)は依存性が強く、長期間の使用で耐性が生じるため、原則的には短期間の使用にとどめます。

参考文献

松岡克善 Nutrition Care 2020 vol.13 no.6

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