靴に関して

靴は衝撃吸収,足の保護,歩行の安定などの機能を持ちます。人類はアフリカで生まれて寒冷地に拡散し,その歴史のなかで靴を使用するようになったと言われます。靴は人類の本来 持つ足の機能を代替し,補強し,足への負担を軽減してきました。その反面,靴の使用によって人類の足の機能は低下し,扁平足や外反母趾の原因となっています。近年,様々な機能を持った靴が市場に出ているが,足の障害が減ったというエビデンスはなく,さらにランニングシューズを中心にベアフットシューズやミニマルシューズなど裸足に近い靴も開発されていますが,それらによる障害も報告されています。靴はアッパーとソールに大きく分けられます。アッパーはフィット性と耐久性が重要で,様々な素材が開発されています。ヒールカウンターは踵部を保持し,過回内の防止などの機能があり,ソールは地面と接する部分で衝撃吸収性と耐久性が重要で,シャンクは安定性を高めています。靴の構造を知り,人体の機能や疾患との関係を理解することは重要です。

シャンク(shank,踏まず芯)はアウトソールまたはミッドソールに組み込まれた芯材で,ヒール部とボール部を連結します。歩行時の靴のねじれを抑制して安定性を高めています。ボールフレックスラインは中足趾節関節(MTP 関節)の背屈する部分で,足の長軸の垂線に対して約13~17°傾斜しています。この部分に合わせて靴も背屈変形するため,靴を選ぶ際には確認する必要があります。ソールが柔らかい靴のほうが良いというイメージがありますが,逆に曲げ剛性の高い靴のほうが移動速度を維持するときに効率が良いです。柔らかい靴は強剛母趾やリスフラン関節症などの患者では症状を増悪させます。

靴の骨格

a:前後方向の骨格靴の前後方向の骨格は踵からカウンター(counter,月形芯),シャンク(shank,ふまず芯),アーチバンデージ(arch bandage),先芯(toe  puff)がアウトソールとともに剛性を保っている.ヒールは地面と接するトップリフト(top lift)と積み上げ層のヒールリフト(heel lift)から成る.
b:足底面の骨格.シャンクはヒール前面(heel breast)からボール部(ball area,中足骨頭部)を連結する.踏み返しはボールフレックスライン(ballflex line)で曲がるように調整される

婦人に受け入れられる靴

足を保護するための靴が,足に害をもたらすこともあります。女性の多くはハイヒール靴で,足の痛みを経験しています。また,低いヒール靴でも足に適合しない靴は痛みを生じます。女性が求めるファッション性と機能性・快適性を両立させた理想の靴はないです。しかし各人の足に合った靴を選び,適切な履き方をすれば,足のトラブルを未然に防ぐことができます。選び方のポイントは自分のサイズ足長・足囲を知ること,履いたときに足の痛みが生じやすい母趾・第5MTP関節部に圧迫が強くないか,つま先に余裕があるか,内側縦アーチと靴のアーチが合うか,ヒールが安定しているかを確認します。目的に応じて靴を履き分けることが重要です。

靴の選び方・履き方

足を入れたとき,立位,歩行時で靴を確認するのが良いです。足趾が動く余裕のあるつま先が良いです。女性ではlcmくらいの余裕があるのを薦めています。またポインテッドトゥよりオブリークトゥをすすめています。ヒールにしっかり体重がかかること,足の内側 アーチ(土踏まず)と靴のアーチが合っていること,はきぐち(足趾の付け根の背側部分)が圧迫されていないか,緩すぎないか,母趾MTP関節の内側,第5MTP関節の外側に痛みがないか,圧がかかっていないかを確認します。踏み返し時にMTP関節部に一致して靴が曲がり,その際きつすぎず緩すぎないこと,踵が浮かないことがポイントです。

小児に適した靴

靴の購入の選択肢が増えネットでも靴を買える時代になりましたが,靴の知識があまり普及していないことから,小児に適した靴について医学的な観点から述べます。成人では強靱な靱帯構造で踏み返し構造などが理論通り機能するが小児の未熟な足部は柔らかいために小児靴には保護しながら良い形に育てていく役割が求められます。既製靴の選択に最も簡単な方法は靴を捻って靴底の固さを調べることで,剛性の高い靴底をもつものはコストをかけて丁寧に作製されていることが多いです。日本は靴よりも草履の文化が長く大振りな靴が好まれます。大きさの選び方は踵を靴の後方に押し付け,中足骨頭の位置が靴のボール部と一致するまでサイズを下げることであります。小児足部変形への靴の応用としては扁平足に対するアーチサポートの靴インサートが代表的です。

参考文献

小久保哲郎 MB Orthop.31(3):1-4,2018
池澤裕子MB Orthop.31(3):31-35,2018

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