足部・足関節のトラブル
足部・足関節のトラブルはまれではありませんが、治療を受けていてもなかなか治らない足の症状や、手術が必要になるもの、専門的知識が必要な特殊な疾患もあります。歩行に直接的な影響がある上にわが国では靴を脱いで生活することも多く、審美的にも非常に重要な分野です。またスポーツはもちろん正座をするためには膝関節・股関節だけでなく足部・足関節も大きくかかわっていますが整形外科分野の中でも比較的専門医の少ない分野です。それゆえ足部・足関節の障害が起こっていてもどこの病院へ行ったらいいのかわからず困っている患者様も少なからず存在するのではないかと思われます。当院では関節リウマチに伴う足部変形、関節炎、その他外反母趾、強剛母指、変形性足関節症などもリハビリ・装具加療をはじめとし手術を含めた治療を行っております。
外反母趾
母趾が外側に曲がってしまう疾患です。足部疾患の中で最も多い疾患のひとつです。女性に多く、ハイヒールや先の狭い靴などの生活習慣、その他母趾がⅡ趾に比べて長いこと、関節リウマチなどの疾患や遺伝的因子も要因の一つといわれています。
症状
母趾の外反に伴って母趾の付け根(MTP関節)が内側に出っ張り(バニオン)靴に当たって炎症や痛みを生じます。また第二趾や三趾の足底に痛みを伴うタコができることもあります(有痛性胼胝)。進行すると母趾が第二趾に重なり第二趾の脱臼を起こし、通常の靴が履けなくなるなどの問題が生じることがあります。
診断
レントゲン所見で正確な外反母趾の程度を測定することは、診断・治療の選択に重要です。外反母趾かどうかは、母趾の曲がった角度、すなわち外反母趾角(第一中足骨と基節骨がつくる角度)で決まります。15度以上は外反母趾で20-40度は中等度、40度以上は重症外反母趾です。しかし概ねの角度は外見上母趾の曲がった角度を測定すればわかります。
治療
保存療法と手術療法に分けられます。保存療法は、靴の指導や作成、インソールの作成などの療法を行います。痛みの改善には有効です。変形が軽度の場合は足趾の体操も進行の予防が期待できます。
保存療法を行っても痛みが改善しない場合には骨を切って変形を矯正する手術を行います。変形の程度や合併病変などを考慮して、いくつかの術式を使い分けています。