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院長ノート

膝内側の痛み ~鵞足部痛に対してのリハビリテーション~

膝内側の痛み ~鵞足部痛に対してのリハビリテーション~

鵞足とは?

縫工筋・薄筋・半腱様筋が付着する場所は脛骨内側部で、扇状に広がり、その形状が鳥の足に似ていることから鵞足と呼ばれています。さらにここには、滑液包と呼ばれるものが存在します。これは筋肉と骨の間に生じる摩擦を減らすものと考えられています。                                       滑液包が原因で痛みが生じている場合は鵞足滑液包炎、筋肉の部分で痛みが出ている場合は鵞足腱炎とよばれています。

変形性膝関節症との関連

膝の変形は内反(O脚)変形がほとんどです。大腿骨に対して脛骨が外側に捻じれる(外旋)が生じると、膝の内側にある鵞足が引き伸ばされ摩擦が大きくなり、筋肉と滑液包の間で炎症が生じて痛みを感じます。また、変形が進むと骨棘が形成されますが、これが筋肉との摩擦をさらに大きくするため疼痛が生じやすくなります。

評価方法

①膝関節伸展可動域の制限→縫工筋・薄筋・半腱様筋は膝を曲げる筋肉のため伸ばすと伸長されます。
②脛骨の外旋(捻じれ)可動域→外旋(捻じれ)が大きいと、引き伸ばされ痛みにつながります。
③スクワットや階段昇降で痛みが生じる。
④股関節外転(足を外に広げる)可動域の制限→骨盤からも付着するため股関節を外に広げる可動域が低下。
⑤レントゲン画像で脛骨内側に骨棘が形成→筋肉の摩擦を大きくします。
⑥鵞足を構成している筋の伸長テスト                                                上記の他にもありますが、このような検査や身体所見、画像所見から総合的に判断していきます。

リハビリテーション

まずは、筋肉の柔軟性を高めることが重要です。筋肉が硬い状態では摩擦が大きくなってしまうため痛みが軽減しにくいです。ストレッチや可動域訓練を中心に実施していきます。筋肉の柔軟性が改善されてくると、負担を軽減させるために筋力強化が必要になります。段階に応じてリハビリテーションを進めていきます。                                       今回は自宅でできるセルフエクササイズを紹介させていただきます。

①椅子に座った状態から膝を伸ばして、筋肉を伸ばす運動です。まずは、膝を曲げる筋肉である鵞足をしっかりと伸ばしましょう。少し足を外に広げるとさらに引き伸ばされます。
②仰向けに寝た状態から膝を曲げ、筋力強化を図ります。膝を曲げることで、鵞足が働き、膝の負担を軽減させてくれます。