足関節捻挫

足関節捻挫はほとんどが外側靱帯損傷であり,最もよく遭遇するスポーツ外傷です。 解剖学的構造により約90%が前距腓靱帯損傷であるといわれています。診断は,腫脹・皮下出血部位・圧痛点が重要であり,MRや超音波検査は補助的に用います。治療は保存療法と した固定が中心となり,重症度と患者のニーズに応じて固定法を選択します。リハビリテー ションは受傷後できるだけ早期より開始し,可動域訓練と筋力およびバランストレーニン グを中心に行います。本疾患は高率に後遺症が残ると考えられているため,早期に診断し,適切な治療を行うことが重要です。

足関節捻挫はスポーツ外傷全体の約40%を占めるといわれていることから,代表的な外傷です。そのうち,足関節外側靱帯損傷は足関節捻挫の約85%を占め,バスケットボールに よって起こる全外傷中の約50%,サッカーの約30%を占めるという報告もあります。

受傷メカニズムとしては,足関節を捻ると前距腓靱帯が最も緊張する底屈内がえし位(内転,回外位)に強制されます。加えて自重負荷がかかることで関節を支えきれなくなり,靱帯の破綻(損傷および断裂)が生じます。前距腓靱帯が破綻した後,さらに強いストレスが外側靱帯複合体にかかると,前距腓靱帯と交通線維をもった踵腓靱帯が破綻(損傷および断裂)します。

診察

本疾患は,問診・視診および触診でほとんどのケースにおいて診断することができます。たいていの患者さんは受傷肢位まで記憶していることが多いため,問診では受傷機転および肢位を確認することができます。これは診断において非常に有用な情報となりうるため,受傷機転の聴取は必須です。
診察は圧痛点がある箇所を確認します。急性期であれば腫脹と皮下出血を伴っていることが多く,圧痛点の判別が困難な場合もあるため,丁寧で慎重な触診が必要です。圧痛点により前距腓靱帯の単独損傷か,踵腓靱帯損傷を伴うかなどの診断も可能です。

画像検査

診断は触診で可能であることが多いため,画像検査は他疾患との鑑別や治療方針の決定などの補助的な目的のために実施します。まず,単純X線で,骨折の有無を確認します。腫脹,皮下出血,圧痛点に加え,単純X線像で骨折を認めなければ本疾患と確定診断できます。最近では超音波による検査も有用です。

治療

基本的に足関節外側靱帯損傷においては,まず保存療法が選択されます。どの保存療法を選択するかは,患者のニーズと重症度によって決定します。
重度損傷あるいは足関節への負担が大きいスポーツ選手や,陳旧性外側靱帯損傷に伴う足関節不安定症によって日常生活や就労,スポーツ活動に支障をきたす場合は,手術療法も考慮します。

小児の足関節外側靭帯損傷

小児における足関節外側靱帯損傷の特徴は,腓骨付着部の剥離骨折が多いことです。特に10歳前後での受傷で起きることが多いです。これは小児10歳以下の前距腓靱帯付着部には力学的に脆弱な軟骨組織が存在し,また距骨側より靱帯腓骨側に強大な力学的ストレスがかかるなどの解剖学的特徴もあり,小児の足関節外側靱帯腓骨付着部に剥離骨折が多く発症すると考えられています。留意すべきことは,小児の場合,付着部の軟骨成分が多いため,受傷直後は剥離骨片が確認できない可能性があることです。初診時の単純X線像で確認できなくても後日の検査で明らかになることも多いため,外側靱帯損傷を疑った場合は,単純X線像での経過観察を十分に行う必要があります。また,適切な固定が行われないと高率に偽関節となると考えられ ています。偽関節は足関節不安定性の残存につながるため,剥離骨折に対しては短下肢ギプスによる強固な固定法を選択します。

参考文献

篠原靖司 関節外科 Vol.38 10月増刊号(2019)

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