脊椎椎体骨折後のリハビリテーションについて

脊椎椎体骨折後のリハビリテーション

脊椎椎体骨折とは

骨粗鬆症が原因であることが多く、軽微な外力、着座、くしゃみで発症し、自覚することがないまま受傷されることもあります。
好発部位は第12胸椎・第1腰椎と背中にあたる部位に多いです。体幹前屈によって背中が曲がる変形が生じやすくなり、早期診断・治療が重要になります。
椎体骨折は受傷早期から適切な治療を行えば治癒が期待できます。しかし、治療開始が遅れた場合、腰背部通が残存しやすく脊柱の変形も大きくなり、受傷後のリハビリテーションも重要です。

脊椎椎体骨折後のリハビリテーション

脊椎椎体骨折によって、椎体が圧壊変形すると脊柱後弯変形し、歩行を中心とした移動能力の低下とともに慢性的な腰背部痛を合併し,ADL低下およびQOLを著しく障害する要因となります。特に高齢者脊椎椎体骨折後のリハビリテーションでは、脊柱後弯変形の発生を可能な限りくいとどめ、円滑な日常生活の遂行ができることを目的に実施する必要があります。

脊柱後弯変形とは?

脊椎は頸椎・胸椎・腰椎に分けられます。頸椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯し、S字の形をしています。椎体骨折などによって、胸椎の後弯がさらに大きくなったり、腰椎の前弯が失われ後弯した状態をいいます。

脊柱後弯変形と歩行機能の関係

脊柱後弯変形が進行すると脊柱や下肢の柔軟なバランス制御機構が低下するため、軽微な外力により転倒しやすくなります。
腸腰筋は腰椎前弯を維持、足を上げる作用があります。
脊柱後弯変形により腰椎が後弯化し、腸腰筋の機能が低下すると、歩行時に足が上がりにくく、段差越えなどで、つまずき転倒しやすくなります。

脊柱後弯変形がもたらす生体力学的不均衡

脊柱後彎変形→円背化→膝関節・腰部に過負荷→二次的に疼痛→移動能力低下→寝たきり状態になる可能性があります。

正常な脊椎では、骨盤とともに腰椎および胸椎が相互にバランスをとりあい、互いに効率のよい代償作用が働きます。
一方高齢者では,脊柱の変形により脊椎自体の可動性が減少し、脊柱後弯変形の進行とともに代償作用はうまく働かなくなります。
その結果、立位を保持するだけで脊椎を支える筋肉に過剰な負荷がかかり、慢性的な腰背部痛を引き起こします。
さらに腰背部痛のため歩行が困難となり、ADLおよびQOLは低下し、最終的には寝たきりになる可能性があります。
後弯変形を呈した方は骨盤が後傾し、これに合わせるように股関節・膝関節が曲がった状態となり、股関節や膝関節に痛みをもたらす原因となります。

筋力と脊椎アライメントの維持

この図はMRIのT1強調画像です。
この画像では通常筋肉は黒く映ります。脂肪組織は白く映ります。筋肉内に脂肪組織があると、黒に白が混ざってきます。この所見がみられると、筋委縮がみられます。

脊椎圧迫骨折や骨粗鬆症による脊椎変形は脊椎の筋力低下とともに進行し、脊柱後弯変形を防止するには運動療法が有効と報告されています。筋力低下がある方が脊椎圧迫骨折を呈すると、立っているだけで脊椎は後弯してしまいます。後弯した姿勢が続くと、骨折した椎体の圧潰が進行し、結果として脊柱の後弯化を加速させてしまいます。

動作指導

コルセットをしていても、体を曲げる、捻じる動作をしてしまうと、骨折部に負担が生じ、骨癒合を阻害します。以下の点に注意しましょう。
①寝返り・起き上がりの際は体を捻じらない丸太様に動きましょう。                         
②座る時は腰を伸ばしましょう。
③立ち上がる際は支持物を利用し、なるべく体を曲げるのを避けましょう。

筋力強化

脊柱起立筋の筋力強化                                          
※チューブを用いていますが、ない状態でも可能です。
椅子に座った状態から、腰を可能な範囲で伸ばし、チューブを引きながら、上に挙げます。
チューブがない方は両手を前で組んで、腕を伸ばした状態から上に挙げていきます。
肩を痛めている方は90°までで構いません。                                                                   10回×1セットを2.3セット実施するのが望ましいです。
無理はせずに自分の状態に合わせて進めてください。

参考文献

吉田 徹ら JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION vol.14 No.11 2005.11
柏井 将文ら MB Orthop.26(12):33-41.2013.

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