乾癬性関節炎とは?~皮膚と関節の炎症~

乾癬性関節炎とは?

乾癬性関節炎は皮膚疾患である乾癬に伴う,主に手指・足趾の関節が障害される全身性の関節炎(脊椎関節炎spondyloarthritis:SpA)です。
炎症の起点は腱・靱帯の付着部にあり,関節内の炎症(滑膜炎)として発症する関節リウマチとは異なる疾患ですが、両疾患の区別が困難なケースがしばしばあります。
平均発症年齢は40歳代で,男性に多く、関節炎は皮疹に続発することが多く,関節(滑膜)炎,付着部炎,指趾炎,脊椎関節炎など多彩な症状を示し,またそれらが重複します。

乾癬とは?

乾癬は特徴的な銀白色の鱗屑を伴う隆起性紅斑です。皮疹は肘・膝など手足の摩擦を受けやすい部位に好発(ケブネル現象)するため,関節炎がある場合、乾癬性関節炎を考慮し肘・膝まで皮膚の有無を確認します。また,頭皮の生え際や股間部など髪や衣服などで見えにくい部位に皮膚症状がある場合がありますので注意が必要です。爪病変は白癬菌感染やアトピー性皮膚炎にもみられるなど乾癬特有ではないですが、関節炎患者の約7 割にみられ,診断の手掛かりとなります。
乾癬と間違われる疾患として脂漏性湿疹,貨幣状湿疹,掌蹠膿疱症が挙げられ,皮膚科専門医と連携しながら診療することが望ましいです。

関節症状

手指の第1関節(DIP)に腫脹と疼痛を伴うことが多いです。また腱,靱帯,関節包の骨への結合部(付着部:enthesis)に炎症を生じます。荷重のかかる踵部(アキレス腱や足底)に加え,膝周囲,骨盤周囲が好発部位です。
また指全体がソーセージ様に腫脹する指趾炎は約20~30%の患者に診られ,足指に起きると痛風と間違われることがあります。
脊椎への炎症を伴うことがあり、腰痛よりも頚椎に疼痛が出現することが多いため,頚部痛に留意します。

診断

診断にはCASPAR(Classification Criteria for Psoriatic Arthritis)分類基準が利用されますが,鑑別が重要です。
炎症性骨格系疾患(関節炎,脊椎炎または付着部炎)を有し,そのうえで1.乾癬の証拠〔a.現存する乾癬(2点),b.乾癬の既往(1点),c.乾癬の家族歴(1点)〕,2.爪病変(1点),3.リウマチ因子陰性(1点),4.指炎〔a.現存する指炎(1点),b.指炎の既往(1点)〕,5.関節近傍の骨新生の画像所見(1点)の5項目中3点以上で乾癬性関節炎と分類します。
しかし、これはあくまでも分類基準であるため、最終的には詳細な病歴、家族歴の聴取や理学所見などから確定診断を下すことが肝要であります。分類基準には鑑別・除外診断がないため、分類基準のチェックリストにそのまま当てはめて診断をすれば、誤診や過剰診断に繋がることを理解しておく必要があります。

併存症

乾癬の併存症として,メタボリック症候群・脂質異常症・心血管系障害・糖尿病・ぶどう膜炎・炎症性腸疾患・骨粗髭症・うつ病などが挙げられ,乾癬は全身の炎症性疾患であると認識されています。皮膚症状・関節症状のみならずトータルマネジメントを要する疾患であり、生活習慣の面も含め,減量・運動・禁煙など併発症の治療を行うことが重要です。

治療

治療は、末梢関節炎、脊椎関節炎、指趾炎、付着部炎、皮膚・爪病変でそれぞれ異なります。まずNSAIDsを使用し、末梢関節炎に対しては経口抗リウマチ薬(メトトレキサート、サラゾスルファプピリジンなど)を使用します。経口抗リウマチ薬の効果が不十分なとき、脊椎炎、付着部炎には、生物学的製剤が考慮されます。現在TNFα阻害薬、IL-12/23阻害薬、IL-17阻害薬が承認され、JAK阻害剤の使用も可能となりました。

参考文献

Coates LC, et al:Group for Research and Assessment of Psoriasis and Psoriatic Arthritis 2015
Treatment Recommendations for Psoriatic Arthritis. Arthritis Rheumatol 68:1060-1071,2016.

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