目や口の乾燥、関節痛に悩んでいませんか?~「シェーグレン症候群」とは~

シェーグレン症候群とは?

シェーグレン症候群は指定難病に認定されている自己免疫による疾患です。眼や口の中が乾く、関節が痛む、体が疲れやすい……。こうした症状はさまざまな要因によって起こりますが、もし「乾き」「痛み」「だるさ」が生じ、数ヶ月続いている場合はシェーグレン症候群の可能性があります。
シェーグレン症候群は、1933年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンにより提唱された疾患です。本来、自分の体を守るために働く免疫の“誤作動”により、全身のさまざまな臓器に炎症が起こる膠原病の一つであり、微熱、光線過敏、寒さや冷たい水などによって指先が青白くなる「レイノー現象」、体重減少、寝汗など多彩な症状を伴うことがあります。早く症状に気付いて、治療につなげることが重要です。

主な症状

【乾き】
• 眼が乾く「ドライアイ」
涙の分泌量が減少することで、眼が乾いてショボショボする、白目が赤くなり痛みを感じる、まぶしさを感じる、などの症状が現れます。
• 口の中が乾く「ドライマウス」
唾液の分泌量が低下することで、口の中が乾燥した状態になります。乾燥が強くなると、パンなどの乾いたものが食べにくくなったり、虫歯や歯周病が増えたり、口が乾燥し会話が続けられない症状が出現します。
• その他の乾燥症状
皮膚や鼻の粘膜、腟の表面を覆っている粘膜などが乾燥する場合もあります。
【痛み】
「関節痛」がシェーグレン症候群の代表的な症状の一つです。末梢神経障害による手足のしびれが現れることもあります。また、リンパ節の腫れや、唾液を分泌する耳の前や下にある耳下腺やあごの下にある顎下腺が腫れて痛む場合もあります。
【全身】
微熱、寝汗、体重が減る、光線過敏(日光に反応して、だるさや熱、発疹が出ること)、レイノー現象。
【その他】
咳や呼吸困難を起こす間質性肺炎、腎機能低下や腎不全リスクのある腎炎などが起こることがあります。

女性に多く、ほかの膠原病を合併することがあります

子供から高齢者まで幅広い年代に発症しますが、症状を自覚する年代は40代、医療機関を受診して「シェーグレン症候群」と診断される年代は50代が多く、男性より女性のほうが発症しやすいことが分かっています。シェーグレン症候群の患者さんの30~40%では、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、ほかの膠原病を合併しています。

診断

シェーグレン症候群の診断には、厚生労働省による診断基準が用いられます。血液検査、唾液量、ドライアイの検査を行い、その後必要に応じて口唇生検や唾液腺シンチが行われます。血液一般検査ではCRP陽性、白血球減少、血小板減少、高γグロブリン血症がみられます。膠原病の診断において自己抗体検査が有用となりますが、シェーグレン症候群では、抗核抗体は70~80%、リウマトイド因子は70~80%、また診断を決定づける抗SS-A/Ro抗体は70%に、抗SS-B/La抗体が30%にみられます。

治療

シェーグレン症候群の治療では、それぞれの症状に対する治療(対症療法)が行われます。
口の乾きは唾液の分泌を促す薬やその人の症状に合った漢方薬などのほか、適切な口腔ケアによって改善する可能性があります。
眼の乾きには点眼薬が有効で、近年目の状態に応じた点眼薬が複数登場しており、個々の患者さんの目の状態に応じた処方が行われます。症状が強い場合には涙点プラグという涙が流れる経路を塞ぐ治療や涙点焼灼術を行うことにより、改善する方もいます。
全身症状を伴う場合には病状に応じて、ステロイド剤・免疫抑制剤を用いて治療を行います。

まとめ

シェーグレン症候群では継続的な治療が必要ですが、最近では治療も格段に進歩しております。また早期診断・早期治療により良好な治療効果が期待でき、口腔・眼乾燥に起因する合併症の予防に繋がります。
治療を続けることで乾きや痛み、だるさなどが軽減し、生活や仕事がより円滑にできるようになり、その後のクオリティ・オブ・ライフの向上につながります。

参考文献

森山雅文 中村誠司 臨床と研究・98巻6号(令和3年6月)
本田文香 坪井洋人 松本功 炎症と免疫vol.29 no.3 2021

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