肩の脱臼~再脱臼の予防が重要~
肩の脱臼
肩関節は可動域が大きい反面、骨性支持が少ないため、もっとも脱臼しやすい関節です。
ラグビーや柔道のようなコンタクトスポーツ選手に多くみられ、受傷するときの姿勢は肩関節が外転・外旋位になったときで、その姿勢を強制された際(転倒や衝突など)に起こりやすいといわれています。
ラグビーや柔道のようなコンタクトスポーツ選手に多くみられ、受傷するときの姿勢は肩関節が外転・外旋位になったときで、その姿勢を強制された際(転倒や衝突など)に起こりやすいといわれています。
診断
レントゲン撮影で診断が可能です。
骨折の有無,脱臼方向などを確認します。
骨折の有無,脱臼方向などを確認します。
整復方法
整復法には、コッヘル法・スティムソン法・ゼロポジション挙上法がありますが、当院では、まず侵襲性の低いゼロポジション挙上法を試み、それでも整復が難しい場合は、スティムソン法を行なっています。
それぞれの具体的な整復法を以下になります。
〈スティムソン法〉
①患者さんを伏臥位(うつ伏せ)でベッドに寝かせる
②患肢に5kgほどのおもりをつける(脱力が目的であり、持たせるのではなく、手首に巻き付ける)
③患肢をベッドサイドから下垂する
そのままリラックスした状態で10~20分程待つことで、自然と骨頭が元の位置に戻ります(整復されます)。
〈ゼロポジション挙上法〉
①患者さんは仰臥位(仰向け)
②患肢を遠位軸方向に牽引しながら、上肢を脱力させ、肩関節を徐々に外転させゼロポジションにもっていく
上肢の筋バランスが一定になるゼロポジションまで外転することで整復される方法です。
ゼロポジションは140°程度挙上した姿勢です(タクシーを呼ぶときに手を挙げるポジションをイメージするとわかりやすいと思います)。
②患肢を遠位軸方向に牽引しながら、上肢を脱力させ、肩関節を徐々に外転させゼロポジションにもっていく
上肢の筋バランスが一定になるゼロポジションまで外転することで整復される方法です。
ゼロポジションは140°程度挙上した姿勢です(タクシーを呼ぶときに手を挙げるポジションをイメージするとわかりやすいと思います)。
整復のコツ
脱臼を整復するためには痛みをとり、リラックスさせることが重要です。
患者さんに安心しリラックスしてもらうため患者さんに話しかけながら、軽く患側上肢をゆらしながら,ゆっくりゼロポジションに患側上肢をもっていき,徐々に牽引を強めることで多くは整復可能です。
整復後の固定
再脱臼を予防するために整復後は3~4週の固定を行うのが一般的です。
初回脱臼の年齢が若い患者さんほど再脱臼率は高くなるので、特にきちんとした固定が必要です。
若年者では6週固定するのが望ましいと報告されております。
初回脱臼の年齢が若い患者さんほど再脱臼率は高くなるので、特にきちんとした固定が必要です。
若年者では6週固定するのが望ましいと報告されております。
再脱臼を予防するためにはリハビリも重要
固定によって、肩関節の組織修復を行うだけでなく、再脱臼を予防するには上腕骨頭を肩甲骨に引き寄せる腱板の機能回復が重要になってきます。
また肩関節の安定性を得るためには肩甲骨の動きや肩甲/上腕の協調運動をしっかりと行う必要もあります。
再脱臼予防には腱板・肩関節の機能回復が重要であり、スポーツ外傷の対応が可能である理学療法士のいる整形外科でのリハビリをお勧めします。
また肩関節の安定性を得るためには肩甲骨の動きや肩甲/上腕の協調運動をしっかりと行う必要もあります。
再脱臼予防には腱板・肩関節の機能回復が重要であり、スポーツ外傷の対応が可能である理学療法士のいる整形外科でのリハビリをお勧めします。
参考文献
柴山一洋 LOCO CURE vol.3 2020
倉田慎平 整形外科看護 2022