膝の痛み

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症(膝 OA)は,骨軟骨や靱帯,関節包,滑膜,筋腱を含めた関節全体の変化により,関節痛,圧痛,可動域制限,轢音や関節水症,局所炎症を呈する疾患で,多くは膝関節の隙間が狭くなり,軟骨が傷む病態です。

高齢者が要支援,要介護になる原因として変形性膝関節症を含む変形性疾患が10.9%をしめています。大規模住民コホートROADプロジェクトの報告では変形性膝関節症の有病率は54.6%で,2005年度の年齢別人口構成に当てはめると,膝OAの有病者数は2530万人であると推定されます。要支援,要介護とならないようになるために,膝OAの予防と早期発見が重要です。

発症・進行を防ぐには?

筋力は年齢とともに低下し、変形性膝関節症の発症に関与します。膝痛を放置しておくと、軟骨が徐々に摩耗し、変形性膝関節症が進行します。O脚が進行するところまでいってしまうと軟骨への負担がさらに強まり、症状が悪化します。したがって、痛みはじめの段階で治療することが大切です。
効果的なのは筋力をつけることです。大腿四頭筋を中心とした筋力を鍛えます。筋肉がしっかりすると関節が安定した状態で動き、関節面の負担を軽減することができ、膝の痛みが緩和します。

日常生活での注意点について

症状を緩和するためには生活面でのケアが重要です。正座はできるだけ避ける、階段では手すりを使用する、肥満の場合は減量する、トイレは洋式を使う、杖を使うなど、できるだけ膝に負担をかけない工夫や生活習慣を身につけるようにします。

治療

変形性関節症は一旦形成されると経時的に進行し,変形性関節症の悪化から逃れることはできないともいわれています。
日常生活動作の維持や除痛を図る目的で,治療介入は必要不可欠です。
非薬物治療として,減量と運動療法があげられます。運動療法は,筋力訓練と可動域訓練に加えて全身持久性トレーニングが有効です。装具療法では,足底板,膝サポーターによる関節負担軽減を図ります。
薬物治療は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)をはじめとした内服薬,外用剤,ヒアルロン酸関節注射などが有効です。臨床試験ではヒト化抗神経成長因子(NGF)モノクローナル抗体によって疼痛改善が示され,今後新規治療薬として期待されています。
手術治療は人工関節や骨切り術などが代表的です。変形の程度や日常生活の活動性によって手術方法が選択されます。人工関節手術を希望される患者さまには、手術の経験が豊富である院長が提携病院にて人工関節手術を行うことも可能です。

荷重軸が人工膝関節置換術によって膝中央にシフトしていることがわかります

荷重軸が人工膝関節置換術によって膝中央にシフトしていることがわかります

整形外科受診のタイミング

中高年になると誰でも変形性膝関節症を発症する可能性があります。膝に痛みを感じたら悪化するまで放置せず、早めに医療機関を受診することが望ましいです。原因をはっきりとさせ、早めに対処することで進行を予防することも可能になります。

膝 OA は早期の段階から治療介入し,中断することなく継続した治療が望まれます。

参考文献


立入久和 日本転倒予防学会誌 Vol.7 No.1:7-9 2020
熊谷研 整形外科看護 2020 vol.25 no.1

特発性膝骨壊死症

骨壊死という疾患名でありますが、実際は軟骨下での脆弱性骨折であり,本症でみられる骨壊死は骨折治癒に至らなかった部分の病態であるとの見解が示されております。現在は,血流障害に起因して発生したとの見解は否定的で,何かしらの原因で生じた荷重環境の変化によりもたらされた軟骨下骨折と考えられています。

症状

高年の女性で突然の膝内側痛で発症することが多く,軽微な外傷(つまずきや膝捻り動作など)が先行することもあります。安静時痛,特に夕方から夜間にかけて疼痛が強いことが特徴の1つとして挙げられ,荷重時にも内側痛が増強します。

診断

発症早期ではX線上異常はみられず,この時点ではMRIを撮像しない限り見逃されるケースもあり,発症様式から本疾患を疑うことが非常に重要です。MRIではTl強調像での低輝度領域およびT2強調像もしくはSTIR像での高輝度領域としてとらえられます。

図 単純X線像では健側と差はなかったが,MRIではTl強調像で内顆に低輝度領域を認めた

治療

早期から免荷を指示することで進行・圧潰を予防することが可能です。杖,場合によっては松葉杖を使用した荷重制限や足底板の使用が有効です。薬物治療としては消炎鎮痛剤が考慮されますが,薬剤による過度な鎮痛は安静に反し患者さんの活動性が増加し,圧壊を助長する危惧があります。骨壊死の保存療法は荷重制限を中心とした大腿骨内顆の安静が目的であり,あくまで,消炎鎮痛剤はその補助手段となります。
すでに圧潰が進行しており,保存療法で除痛が困難な場合は手術適応となります。

参考文献

浜田大輔 西良浩一 MB Orthop,29(3):53-60,2016
堀内博ら MB Orthop. 30(5):125-131,2017

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