骨粗鬆症の重症度とは? ~強力な治療薬が必要な理由~

重症骨粗鬆症とは?

骨粗鬆症とは、骨の量が減少する、あるいは骨の質が悪くなってしまい、骨折が起こりやすい状態をいいます。骨密度を測り、若年成人の平均値と比べた値(YAM 値)が70%以下であると骨粗鬆症と診断します。また、大腿骨近位部骨折(股関節の骨折)・背骨の骨折があれば、骨密度の値に関係なく骨粗鬆症と診断されます。
一言に骨粗鬆症といっても様々な骨の状態があり、他の病気と同様、重症度が分類されます。
重症の骨粗鬆症とは、どういった状態でしょうか?
骨粗鬆症は骨折が起こりやすい状態でありますので、
“重症=骨折リスクが高い状態”
といえます。

重症度の判定基準

“骨折リスクの高い骨粗鬆症”とはどういった方でしょうか?これについては、「原発性骨粗鬆症の診断基準2012年度改訂版」に示されており、以下に当てはまる患者さんになります。
1.骨密度が低く、骨粗鬆症に関連した骨折を起こしている
2.背骨の骨密度がとても低い(YAM値60%未満)
3.背骨が2ヵ所以上骨折している
4.背骨が骨折した場合、骨折の変形が強い

では、なぜ骨粗鬆症の重症度を判定する必要があるのでしょうか?それは、骨折を予防するためにはスピード感をもって強力な治療が必要となるからです。
骨粗鬆症は骨折するまでは自覚症状がなく、「骨粗鬆症くらい大したことはない」と軽視することがありますが、一度骨折すると患者さんの人生が大きく変わることがあります。
骨粗鬆症が原因で生じる骨折(脆弱性骨折)を予防することの重要性を理解する必要があります。

骨粗鬆症の骨折(脆弱性骨折)の特徴

骨粗鬆症を背景とした骨折は、骨が元気な状態で起こす骨折とは意味合いが異なります。
骨粗鬆症を背景とした転倒などの小さな外力で起こる骨折のことを「脆弱性骨折」といいますが、以下の特徴が挙げられます。

1. 生命予後に関連
大腿骨近位部骨折を受傷した場合、生命予後は癌にかかった患者さんと同程度と言われております。骨粗鬆症は骨だけの問題ではなく、命にかかわる疾患であります。
2. 骨折の負の連鎖(ドミノ骨折)
一度骨折するとドミノ倒しのように次々と骨折する危険性が高まります。
3.骨粗鬆症の骨折は合併症であり、骨粗鬆症自体の治療が必要
骨粗鬆症性骨折は、骨が脆いことによるイベント(合併症)で、次の骨折の警報となります。骨折に対する治療は症状を緩和する治療であり、根本的な治療ではありません。骨折の治療と同時に、骨を強くする骨粗鬆症に対する治療が必要です。

重症骨粗鬆症に対する治療

重症骨粗鬆症は、上記の脆弱性骨折が差し迫った状態であるので、治療効果が速やかであり、治療効果の高い薬剤の使用をお勧めします。また治療薬の順番もひとつポイントとなります。骨形成を促進するお薬(骨形成促進剤)を先に使った方が良く、その後に骨吸収を抑制するお薬(骨吸収抑制剤)を使用する治療の方がより効果が期待できます。
骨折を一度も起こさないように予防すること(一次予防)はもちろん大切ですが、もし骨折を起こしてしまったとしても、1回の骨折で終わりにするために、二次骨折の予防が重要です。そのためには、重症度をしっかりと判定し、重症度に応じた治療を行う必要があります。治療目標(treat-to- target)を掲げた「Goal-directed treatment」が推奨されており、できるだけ早期に治療効果が発揮できる薬剤を選択していきます。

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