ステロイドによる骨への影響~ステロイド性骨粗鬆症~

ステロイド性骨粗鬆症とは

副腎皮質ステロイド薬は,強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を有し,膠原病・リウマチ性疾患など幅広い領域の多様な疾患の治療に汎用されます。しかし,副腎皮質ステロイド薬は,糖脂質,骨等の代謝異常を必発します。副腎皮質ステロイド薬による骨代謝異常症はステロイド性骨粗髪症とよばれます。しばしば骨粗鬆化に伴う脆弱性骨折を生じます(図1)。副腎皮質ステロイド薬の開始後早期から骨密度が正常でも生じる症例も少なくなく,小児から成人,高齢者までどの年齢でも生じます。また,長期使用患者の30~50%に発生します。骨折はQOLを著しく低下させ,生命予後に影響し,治療のピットフォールとなります。

図1 ステロイド加療中に誘因なく椎体骨折を発症

ステロイド性骨粗鬆症の治療

ステロイド性骨粗鬆症は処方された薬剤による副作用であり,的確な管理と治療が必要ですが,薬剤により骨折発生率を抑制できることも明確です。
ステロイド性骨粗髪症の管理と治療のガイドライン2014年改訂版(図2)では,副腎皮質ステロイド薬を3ヵ月以上使用中か使用予定の患者で,一般的指導に加えて,既存骨折,年齢,ステロイド投与量,骨密度を危険因子として点数評価し,3点以上ならばアレンドロネートかリセドロネートの使用が推奨されています。特に65歳以上であれば スコアは4点となるため,高齢者は全例薬物療法の対象となります。
一般的指導は,喫煙や過剰なアルコール摂取等の骨粗鬆症の危険因子となる生活習慣の改善,薬剤の正しい理解,ビタミンDやカルシウムのサプリメントとしての補充,普段からの運動や歩行の習慣の励行,荷重運動,転倒予防,脊椎骨折の際の歩行時のコルセットの着用などです。ビスホスホネート製剤の使用においては,抜歯などの侵襲的歯科治療を受けた後の顎骨壊死症に留意する必要があり,副腎皮質ステロイド薬も顎骨壊死症の危険因子とされますが,骨折予防の観点からはビスホスホネート製剤投与のベネフィットがリスクを上回ります。

ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2014年度改訂版より引用

参考文献

田中良哉 分子リウマチ治療 vol.12 no.1 2019
宗圓聰 THE BONE Vol.32 No.3

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